子供がスポーツをする(習わせる)ことは、ひと昔前までは「好きだから」「習い事」「人間形成」「友達作り」というイメージが強かったように思います。

プロや実業団などに進みスポーツで食べていく道を目指す人は少数派ですし、誰もがなれる訳ではありません。

しかし近年はこれらとは少し違い、「質のいい先行投資」としてスポーツをする子供が増えています

スポーツでアメリカの大学へ行くという選択肢

ここ5年くらい、日本の高校生がスポーツなどの一芸分野でスカラシップを得て、アメリカの大学に入学するケースが増えています。

スカラシップとは「返さなくていい奨学金」です。日本の「特待生」のようなものです。

※もともと奨学金とはスカラシップを指すはずはずなのですが、日本では奨学金=ローンと化しているのが現状ですね…

 

このスカラシップ制度が今日お話しするテーマなのですが、これは何も一部のトッププレイヤーのみの話ではなく、全国大会や地域の大会(関東大会、九州大会など)に関わるレベルであれば現実的なケースです

「アメリカの大学」を選択するメリット

そしてツイートにもあるように、「アメリカの大学へスカラシップで入学する 」というのは、日本の大学にスポーツ推薦で入学するのとは、物理的・非物理的それぞれで全く違ったメリットがあります。

  1. グローバル社会に適応するための能力(英語力、多文化他宗教への理解)を身につけることができる
  2. テクノロジー分野で最先端の国アメリカに住むことで、世界や時代の流れを肌で感じ見聞を高められる
  3. スポーツを通して、他国の人と競争する能力が身につく
  4. 卒業後の選択肢が増える。世界のどこでも生きられる自力がつく
  5. これらの付加価値が得ながら、日本の大学へ進学するよりもトータルで安い金額で行くことも十分可能である

凄まじいメリットだと思います。

 

これまでの時代では、

とにかくスポーツを頑張る→大学の体育会に入る→就職に有利

というのが王道でした。

 

しかし、日本の雇用体制が代わり、個人・企業共にグローバル化が避けられない現代において、思考停止でただひたすらスポーツに打ち込むことはリスクですらあると思っています

 

こうした点で、今まで必死こいてやってきたスポーツを武器としてアメリカの大学に奨学金で行くという選択肢は、スポーツに取り組む全ての人が視野に入れておくべきと僕は思っています。

スカラシップ(奨学金)の仕組み

では、スポーツに打ち込む中高生は、どうすればスカラシップを得てアメリカの大学へ行くことができるか?

これは少々複雑ですし、目指す大学によっても変わりますが、僕が以前ツイッターのコラムで書いたものを載せておきます。


ざっとかいつまんで話すと、

  • アメリカの大学スポーツはビジネスになっており、有望な学生をとることで大学側にも利益になる=スカラシップの制度がある理由がこれ
  • スカラシップ枠は、100%(フル)・75%・50%(ハーフ)などあり、各大学ごとにその枠が決められている
  • エージェントに連絡し、仲介に入ってもらう
  • 手を挙げた大学と連絡を取り合い、詳細を話し合っていく
  • スポーツの戦績、英語力(TOEFL、SAT)、学校の成績など条件を満たせば、入学の方向へ進めていく

こんな感じです。

 

※ちなみに、僕自身はエージェントでもなんでもありませんし、責任持って紹介できる立場の人間でもありません。

あくまで「こういう世界がある」という認知と、その先端を知るくらいだと思っておいてください。

ただし、めちゃタフな道でもある

いいことばかり書いてきましたが、これを読んでる半数以上の方は、「簡単ではないでしょ」と思われるでしょう。

実際、想像以上に大変であることは間違いないです。

良い所ばかり書いていては「回し者」みたいに思われるかもしれないので(笑)、アメリカの道を進む上でほとんどの人が苦労する部分も少し紹介します。

①一年かけて、英語はガチ勉

日本人は、アメリカの大学からも基本的に受けが良いです。

真面目でコーチや先生のいうことをよく聞くし、トラブルも少ない。

一方で、他国の希望者と比較して圧倒的に不利なのが英語力です

 

ちなみに、日本ではTOEICが中高生の間でも有名ですが、基本アメリカの大学に入るにはTOEFLやSATが求められます

TOEFLなんて、多分普通の教育を受けてる日本の中高生は、発狂するレベルで難しいはずです。

実際、僕の周りにはほぼ毎年アメリカの道に進む選手がいるのですが、その多くは丸一年以上かけてTOEFLなど英語を猛勉強しています

英語が苦手な人にとっては、恐怖でしかないですね。僕も苦手だったので、よくわかります(笑)

一方で、もう時代は英語必須になりつつありますから、どの道どこかで猛勉強しなければいけないんですけどね。。

②情報リテラシーが求められる

主に、ご両親サイドの話です。

アメリカの大学はリーグの種類がたくさんあり、それぞれで求められる基準(TOEFLの点数など)が違ってきたりします。

非常に複雑で基本はエージェントさんと一緒に進めていくのですが、全て丸投げになってしまうと情報の良し悪しもわからず、自分がいく世界の全体像が見えないまま進めていくことになってしまいます

また、海外だと日本の勝手が通じないことも多々あり、例えば書類をいつまでに用意するとか、ビザの申請が遅れてしまった、などなど正しい情報をある程度自分で集め、最終的には自分でなんとかしていくというスタンスを持っていなければ、トラブルに見舞われやすくなるでしょう

とはいえ、努力次第

難しいところを紹介しましたが、とはいえ、最終的には本人や周りの努力次第とも言えます。

英語は世界一ポピュラーな言語なので、やれば誰でもある程度できるようになりますし、情報リテラシーも磨くことは誰であっても可能です。

エージェントと密に相談しながら一つずつ進めていくことができれば無理な世界ではないでしょう。実際、毎年苦労しながらもたくさんの高校生がアメリカへ行ってますからね。

意識の強さ次第とも言えるでしょう。

総じて、現代のスポーツは「質の良い先行投資」の側面がある

このように、スポーツを取り巻く環境は明らかに変わっています。

以前、少なくても僕が子供だった時は、スポーツを習い打ち込むのは人間形成の意味が強かったように思います。

 

しかし、スポーツに打ち込むにつれ将来の進路への不安は募っていくもので、とりわけ「プロになれないなら、頑張っても意味がない。大学にスポーツで入っても、その先に何かがあるわけじゃないし…」という意見の方も少なくなかったです。

 

ですが上記の通り、時代は明らかに変わっています。

世界がグローバル化するにつれこうした選択肢も強い意味を持つようになり、いわば「ただの習い事」と「プロの道に進む」間の選択肢が充実してきたと捉えることもできます

 

あるアメリカの大学と仲介をしているエージェントさんが、「僕は、スポーツを『投資』と捉えています」と言っていたのが印象的でした。

当然、あらゆるリテラシーや挑戦ありきの話ですが、もはやスポーツはただの綺麗事ではなく、生きる力を育ててくれる重要な選択肢なのかもしれません。

 

そして最後に。

こうした情報は、普通は選手側(親御さん含む)が1から10まで情報を仕入れることは難しいものです。

つまり、少なくても指導者や僕のようなスタッフ側はきちんと理解しておいて、適切なケースがあれば選択肢として提案していく必要があるでしょう

スタッフがこうした選択肢を知っていないと、選手側の可能性を狭めてしまいますからね。

 

という訳で、本日はアメリカのお話でした。

ほなまた。

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