選手に怪我や不調があった場合、

よく聞かれるのがオーバーワーク、つまり
「練習のしすぎ」という言葉。


とても使い勝手がいい言葉に聞こえる。
練習のしすぎと言えば大抵の選手には
心当たりがあるだろうし、
実際「本人の体の強度」を超える練習量があれば
痛みや怪我は発生する。



けれど、なんでもオーバーワークで片付ける
専門家を信じてはいけない。



例えば、ある選手「Aくん」の場合。
Aくんは全国出場を目指して練習している。
一日の練習時間は3時間。
土日は5時間にもなる。
これを週5日するので、トータルで
1週間で約20時間。
一ヶ月で80時間。
一年で960時間。

僕らのような理学療法士やトレーナーなど
体の専門家から言わせれば、まさに
「オーバーワーク」なのかもしれない。
練習は週3日、一日1〜2時間。
土日はどちらかは完全オフ。
それが「適切な練習量」と体の専門家が
指摘する場合も実際ある。
確かにそれなら怪我はしないだろう。

では、体の専門家が考える
「適切な練習量」をやれば、Aくんは本当に
目標達成できるだろうか?

当たり前だけど、上達には
練習の質も量もある程度必要になる。
専門家の指摘する「安全な練習時間」と
指導者が考える「上達に必要な時間」は
一緒ではない。


もしかすると今年一年の成績が
この先の競技人生に大きく関わるから、
オーバーワークを覚悟でやってるのかもしれない。

もしかすると練習相手に恵まれず
今の環境で上達するには、止むを得ず
練習時間をたくさん取らないと
いけないのかもしれない。


だから、選手本人の置かれている状況や
背景を無視して、何でもかんでも
「オーバーワーク」で片付けるのは絶対に
間違いで、
本当に現場に寄り添える専門家なら
「上達に必要な練習時間」を耐えられるように
体作りを提案したり、少ない時間で上達できる
体や動きの土台を作るように進めるはず。


当然、明らかなオーバーワークは存在する。
寝る間も惜しんで一日20時間練習、とかは
明らかに無意味だけど、
目標達成のために妥当な時間なら
それをなんとかできるように試行錯誤するのが
専門家の仕事だと僕は考える。



そもそも、体の専門家は体のプロであって
テニスを教えるプロじゃない。
テニスを教えられるのはコーチだけ。
そしてやるのは選手自身。

もし、なんでもオーバーワークで片付ける
専門家がいたら、こう言ってあげてください。


「あなた今持ってる資格
一日一時間の勉強で取れたんですか?」

って(笑)



今日の写真/トップ選手の歩む道
IMG_20306.JPG
写真は現ジュニアナショナルチームで
過去サポートしていた通称「キミレンコ」。

オランダのITFジュニアで優勝した時の写真だが
彼女も、質の良い練習を
相当な時間こなしてきた。
しかし大きな怪我もなくジュニア時代を過ごし
身長も、小さい頃に予想されていたよりも
5㎝高くなるまで大きくなった。
※それでも外国人選手と並んだら
この身長差だが。。これが世界との差。


彼女は体つくりも余念がなかったし、
きちんとシステム化し実践することで
オーバーワークでなく選手は減らすことができる。


「オーバーワーク」という都合のいい言葉が
言い訳に使われることのないようにしたい。





テニスコーチ向けのトレーニング&メディカルケア
講習会を11月5日(日)大阪で開催!

・トップ選手を育成したい
・選手に行なっているトレーニングに自信がない、
本当に効果があるのか疑問に感じている、
より効果的なトレーニングを学びたい
・選手がケガに悩まされている、
ケガを未然に防ぎたい
などなど、日頃コーチの方が抱える悩みに
身体の専門家という立場から

「正しい医科学的な知識」を
お伝えしようと考えています。

詳細はこちらから!



======================
テニスフィジオでは、ジュニア選手の
トレーニングや体のケアを大阪のジムにて
マンツーマンで行なっています。
詳しくは以下のテニスフィジオHPよりご覧下さい。


======================