最近ネットでよく見る、「〇〇×〇〇」について。
僕は(一応)理学療法士(のはしくれ)なので、タイムラインを見ていると「理学療法士×〇〇」とかいう文言が目に入ってきます。
あの、有料部分に入る前に核心をついちゃいますね。
「〇〇×〇〇」って自分で意識したり発信したりブランディングしている人って、9割が自分に自信ない人です。
(自分はそんなつもりなく他人がそう評価しているならok。これについては後述)
わかりやすい例で、理学療法士×〇〇にしましょうか。
こうやって自己ブランディングしたり、あまつさえSNSのプロフィールに掲げて発信している人って、理学療法士の市場から出ることが怖いだけなんですよね。
〇〇×〇〇は、本来1万時間以上向き合い続けても差別化すらできない市場にいる人が、もう一つの市場で1万時間向き合うことで稀有な存在になれるという意味だと忘れてはいけない。自分のいる小さな市場から出るのが怖いから無理やり掛け算したって、しょせんピエロだと見抜かれるだけ。
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) December 29, 2019
今の時代において、複数のスキルを超高レベルで身につけることは間違いじゃない。むしろ単一スキルだけ極めることはマイナスでしかない。
しかし多くのケースで〇〇×〇〇は誤解されてると感じる。どちらも中途半端です!小さな枠から出るのが怖いんです!!って公言してるように見えてしまう。
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) December 29, 2019
後に来る〇〇が本当に抜きん出たスキルなら、別に理学療法士なんていう小さな枠の中に縛る必要なんてないんですよね。
理学療法士×〇〇と自分で豪語しているというのは、理学療法士としても〇〇としても中途半端だよって自分で認めてることでもあります。
一方で、〇〇×〇〇というのは、色んな業界で言われていたりします。
身近で言うと、キングコング西野さんとか。
時代の流れとして、これも非常に的を射ていますよね。
今回はマガジン読者の方向けに、〇〇×〇〇をどう解釈し、キャリアにつなげるのが良いか?/よくないか?を、僕の独断と偏見で書いていこうと思います。
医療、スポーツ分野で活動される方にとっては、何かしら見えて来るものもあるのではと思います。
それでは始めます。
■〇〇×〇〇は、自分が決めることではない。
はじめに、〇〇×〇〇に対するスタンスについて。
冒頭にも書きましたが、本来〇〇×〇〇というのは、自分がそう決めて売り出していくものではないんですよね。
むしろ、自分が積み上げてきたものをどう活かすのか?考えながらアウトプットしているうちに、その人なりの色というか味が出てきて、滲み出るスキルから感じ取った第三者が「理学療法士で〇〇と言ったらあの人だよね」となるのが本筋だと、僕は思っています。
とはいえ、複数のスキルを掛け合わせようとすることは間違いではありませんし、素晴らしいことだと思います。
理学療法士に限らず、(おそらく読者の大半であろう)医療・スポーツに身を置いている皆さんは、自分のやってきたことを掛け合わせて、自分にしかできないことを考えクリエイティブするのが必須でしょう。
これはとても大変ですが、僕自身もいつも自分に何ができるかな〜って考えています。
多分、これは哲学的なものでもあり、終わりはないんですよね…
僕らの仕事って、クリエイティブですから。
そして、もう半分は、まだ見ぬ〇〇。つまり今やっていることや居てる業界の枠を飛び出して、新しい分野に挑戦するという気持ちだと思っています。
【ジョン万次郎の生家を修繕したい】
本職ではないのですが、タイトル通りの目的でクラウドファンディングをすることになりました。
ご縁あって、高知県土佐清水市の観光課、商工会や地元業者などのご協力のもと進めていきます。傷みに傷んだ生家を直したい…
来月スタートを目標に進めています(続) pic.twitter.com/K98Jsk5F0c
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) November 9, 2019
どこまで手を広げるんやろうかw
登録理学療法士ガーと騒いでいる皆さん
資格っていうのはこうやって使うんですよ(チガウ)正直PTの可能性なんて感じていませんでしたが…
そんなん関係なくなんでもできるんですね!
クラファン協力お願いします https://t.co/aQi30GJaaX— かつん@むきむき副業セラピスト (@PT_muscle) November 14, 2019
最近こんなこともやっている僕ですが、こういうのって自分がPTだからできる/できないとかじゃなくて、純粋に好きで力になりたいっていう気持ちから始めるものですよね。
そして、その「好きな気持ち」こそが現代の原動力でもあります。
だから、自分はPTやトレーナーだから…という前提なんか無視して、本当に好きなことに関わり続ける方がいいでしょう。その方が、業界の枠なんか飛び越えて、もっと面白いことができるはずです。
■理学療法士×〇〇と謳うのをオススメしない理由
理学療法士×〇〇という文言もよく見るようになってきました。
これはみなさん自身のブランディングのためにやっていたりするのですが、それを見て感化された若者たちが
「ああ、自分もPTという職に何か掛け算しないといけないんだ!!」
と超安直な考えに至ってしまうケースも多いですよね。
僕の意見は冒頭にも書きましたが、理学療法士×〇〇と自分自身で謳っている人は、ほとんどどちらも中途半端なだけです。
本当にマルチな領域で活躍している人は、PTという枠などにはこだわっておらず、また後者の〇〇にもこだわっていません。
現場もやれば経営もやるし、コンサルだって地域おこしだってスタートアップだってyoutubeだってなんだってやります。
そして、仕事と言うかビジネスって本質は同じなので、業界の枠を超えることを全く怖がりません。
理学療法士×〇〇というのは、
「理学療法士の王道で突き抜けられずその気もなく、かと言って他のスキルもないからPTの枠の中で発信するしかない。だけどPTだけじゃ差別化されずブランディングにならないから、もう一つ(これまた中途半端な)何かを掛け合わせている」
という状態にすぎません。。少なくても僕はそう見ています。
■西川自身はどうなのか
僕自身は現在、PT業界にもテニス業界にも、その他関わっている全ての業界にも、全くこだわりなく仕事をしています。
とはいえ、正直、昔はかなりこだわりがありました。
僕自身、テニス業界で活動し始めた頃は、全国的にも理学療法士でテニスの現場でバリバリやってる人って、数人しかいなかったんですよね。
僕は関西の人間ですが、当時は2人くらいしか関西で活動している人はいませんでした。
だからこそ、自分が力不足でもある程度ブルーオーシャンでしたし、「理学療法士がその知見で」テニス選手をサポートしている、ということ自体がある意味ブランディングでもありました。
ただ、それに味を占めていた部分も正直あって、自分に培ってきた知見を広げたい!という純粋な気持ちのつもりだったのですが、それを現場に押し付けようとした感は否めません。
また似たような活動をする同業には排他的になったり、攻撃的になってしまうことも正直ありました。
ですが、徐々にいろんな縁をいただき、様々なフィールドで仕事をするにつれ、また海外という未知の場所で経験するにつれ、それらの悪い意味でのこだわりは薄れていったように感じています。
今は、海外のスポーツ現場で活躍できるトレーナーさんやPTが増えることが、嬉しくてたまんないですマジで。
バドミントン選手のサポートをしてる小島さん(@physio_bad)と、うまくタイミングが重なって空港で会えた😄
僕はフロリダの帰り、小島さんはこれからマレーシア遠征へ。こうやって、スポーツで世界に飛び出せるPTが増えるのが素直に嬉しい! pic.twitter.com/WOASg8y79z
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) January 1, 2020
■理学療法士×〇〇を目指してしまうとどうなるか
①同業や他人に対し、排他的になる。攻撃的になる。
何というか、僕は「単一のスキルしか持ってない人間」をキモいと思ってる。原理主義者みたいになって他人に攻撃的になるから。
ガチエンジニアを目指すのは素晴らしいし、そんな友達も沢山いるけど、技術しか見てない奴は論外なんよな。
というわけで、技術歴の長い僕はあまり技術の話をしない。
— やまもとりゅうけん/知っているかいないかで大きな差がつく人生逃げ切り戦略(KADOKAWA)4刷決定 (@ryukke) December 27, 2019
これは僕自身経験したので、とてもよくわかります。
既述のように、技術を突き詰めていくと、多様性はなくなり異なる価値観を受け入れにくくなる。その結果、他人に排他的になったり攻撃的になってしまいます。
自分が経験し、これによって周りに人がいなくなってしまった時期もあったので、技術を極めるってのはホントに危険なことなんだなと身を以て体感しました。
②ものすごく狭いマーケットで戦わざるを得なくなる
仮に理学療法士に対して何かの発信やサービス提供をすると考えると。
まあ、それだけで正直、くっそ狭いマーケットなんですよねw
ツイッターのフォロワー数で例えてみましょう。
理学療法士の業界で有名な方や、協会のお偉いさんなど俗にいう「PT業界で王道を行ってる人」って、どんだけ業界内で有名でもフォロワー数は軒並み5000~8000くらいで頭打ちしてるんですよね。
決して悪口で言ってるんじゃなくて、これは理学療法士という市場が(少なくてもツイッターにおいては)このくらいの規模でしかないということです。
余談ですが、ブロガーという職業の場合、「フォロワー10000がスタート」と言われたりします。
ブロガーはオワコンだ!とか言われててもなお、市場規模はそれくらいある(最大で30万フォロワーとかもいますから)わけですから、PTの市場ってマジクソちっさいんですよ。
一方で、理学療法士でありながらフォロワー10000人を超えてる人って、みんな理学療法士もしくはリハビリという業種にこだわってないですよね。その枠を超えて活動し、得た知見を発信しています。
まあこれはツイッターのフォロワー数という限られたものですから、正確性は欠けますが…大雑把に見ても、割と間違ってないでしょう。
話戻って、理学療法士というフィールドがタダでさえ狭いのに、そこに何かを掛け算するなんて、「一体何目指してんの?」ってレベルでマーケットは小さくなります。
例えば理学療法士×英語で発信するとしたら…
僕もPTやトレーナーに対して英会話の必要性を日頃から口すっぱく説いており、教材販売までしてやがりますが。
これも別に「PT×英語でブランディングしてやろう!!」という考えではなくて、単純にPTやトレーナーはこれから英語できなきゃきついよね、っていう価値観なので、それを伝えるために出しているだけであり…
正直、「PTと英語」のフィールドでどれだけ極めようが、市場が小さすぎてなんのブランディングにもならないんですよw
フロリダにて2019年の終わりを迎えます。
今年も9回の海外遠征で、多くのチャレンジと失敗をしました。けど、ベストを尽くせたのも応援しチャンスをくれる方々のおかげだと思うわけです😌
皆さんに、ホントに感謝です。2020年もたくさん動き失敗して、価値を提供したいです。あとはよ寿司食べたい。 pic.twitter.com/uPDBTpPhfr
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) December 31, 2019
ちなみに僕が海外でこうして活動できているのは、「理学療法士×英語」でブランディングしているからではなく、理学療法士というベースの知識をテニスに応用し、海外生活のノウハウも経験し英語も話せるようになった上で、チーム内の金銭事情などを知った上で交渉する経営知識やコミュニケーション、自分を正しく知ってもらえるブランディングやマーケティング、多文化への理解など実に様々なスキルの総合点によるものだと自負しています。
このように、枠にとらわれず様々なスキルを高レベルで身につけることによって、仕事も生活も世界がパッと広がります(高レベルであって「極める」のではないのがポイント)。
付け焼き刃の理学療法士×〇〇なんて、自分の可能性を狭めてしまうだけなんですよね。。
③すぐマネされる
②で書いたように、2つの中途半端なスキル掛け算することによって、マーケットはびっくりするくらい狭くなり、自分自身の可能性も狭めてしまいます。
そのくせ、中途半端にスキルなだけに、誰かにすぐマネされますw
これは悪意を持って誰かがマネしてやろう!というわけではなく、その人の発信を見て「自分もこうなりたい!頑張ってみよう!」と純粋な気持ちで参入してこられるわけです。
そして既出の通り、理学療法士×〇〇とかで打ち出していると同業に対して排他的かつ攻撃的になってしまうので、なんかもう色々残念なことになってしまいますw
■では自己ブランディングって、どうすればいいのか
①様々なスキルを、高いレベルで身につける
病院の中だけで一生仕事するならともかく、外に出て自分で何か仕事を作っていこうと考えるのであれば、職人では絶対ダメな時代に突入していますね。
末尾に紹介しているプロジェクトでも紹介していますが、大きく分けて4つのスキルが必要であるように思っています。
すなわちスポーツ現場でやりたいなら、トレーニングスキル、セラピストスキル、ビジネススキル、英会話スキルの4つです。
②高いレベルだけど、極める必要はない
何かでオンリーワンの存在になるには?と考えたとき、
何か一つを極める→一流
あるいは、理学療法士×〇〇みたいに、
1.5流×1.5流=一流
と考えるのが、まあ普通の思考かと。
けど僕は常々、その分野でのオンリーワンになるなら上にあげた4つのスキルを「1.2流×1.2流×1.2流×1.2流」くらいになっているべきかと思っています。
全てが高い水準だが、それぞれ一流とまで極めている必要もないいうことです。
もちろん、一流レベルのスキルがあるに越したことはありませんが…
実際、例えば英会話の分野でアメリカ人レベルのネイティブになるには、それは相当な努力と時間が必要です。
一方で、そこまで話せるようになったとしても、仕事の領域としては「ペラペラではないけど困らず話せる」レベルと大差ないんですよね。
トレーニングスキルやその他に関しても、同じことが言えます。
しかし繰り返しますが、どの分野も中途半端は絶対だめです。
少なくても、その領域は自分の分野である!と言えるくらいにはなりましょう。
まとめ
〇〇×〇〇については、オープンのSNSでは賛同の声が多く、自分を見失ってしまいがちになりますが、あなたが本当にやりたいこと、好きなことの本質を見失わないようにしましょう。
どの世界も人は一人では生きていけず、周りと調和して助け合うべきだが、自分の人生について本気で考えるべき人は自分しかいない。誰かの意見に決めてもらう習慣や、環境や世の中のせいにすることをやめ、自分の生き方は自分で決めるものと理解し、どの道でも今取り組んでる道に覚悟を決めて進むべし。
— Satoshi Onodera 🇺🇸🗼 (@satoshi_gfa18) December 14, 2019
とはいえ、このツイートのように、たった1人では生きていけないのが人間なので、モチベーションは大いにあるがどうしたらいいかわからない…という場合は、以下のプロジェクトもちらっと覗いてみてください。
それでは、2020年も頑張っていきましょう!!