肘を痛める小学生に多いフォームの特徴と改善方法

選手の皆さん、

また選手の保護者の方々、

自分や子供の投球フォームを見たことはありますか?

私自身これまでは、

実際に痛みが出た選手へ対応することが多くありましたが、

今年からより未然に防いでいくことの重要性を伝えていくために

取り組んでおり、

最近では、

選手のシーズン中のコンディション維持に取り組む方や

将来的な怪我予防に向けて取り組む方のサポート

をさせていただく機会が増えてきました。

怪我をしている選手や怪我のリスクのある選手で

特に子供の場合は、子供特有の動作があります。

痛みや違和感のある選手で特に多かったのが、

『dart type』

と言われる投球の動作です。

dart typeとは、

以下の写真のように肘を前に突き出すような形です。

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もちろん子供だけに当てはまることではありませんが、

このタイプは今まで見てきた中でも

小学生に特に多い動きになります。

今回は、

子供の怪我の原因として多いdart typeの改善方法について解説していきます。

なぜdart typeとなるのか?

肩周囲の硬さによって起こることもありますが、

小学生の野球を始めた時期では、

実際の指導の方法の中で生じてくることが多いように思います。

指導の中でよく言われていることが、

『肘をたたんで出せ』

『耳の横を腕が通ように』

『肘を前に出せ』

画像2

というような指導方法により、

dart typeが誘発されてしまっているという

選手を多く見てきました。

なぜdart typeがダメなのか?

一番は、シンプルに

『怪我が起こりやすいから』

です!!

いわゆる手投げと言われるようなフォームでもあり、

ストレスのかかり方も非常に大きいです!

投球動作とは、

全身をうまく連動させることが重要であることは皆さんご存知だと思います。

しかしdart typeでは、

股関節や体幹など全身を使った回転運動が行えず、

肘を支点にした肘の回転運動で投球が行われます。

さらに、この特徴から

肘の『外反』と言われる動きが非常に強く出てしまうため、

肘の内側が引っ張られ、

肘の外側には圧迫力がかかります。

そのため通常よりも負担が強くかかり、

OCD=上腕骨離断性骨軟骨炎という軟骨の怪我(肘の外側の怪我)や

内側側副靭帯損傷(肘の内側の怪我)のリスクが高くなります。

これらの怪我になると回復まで非常に長期間をようし、

大切な学生の時間に好きな野球ができなくなってしまいます。

場合によっては、手術となってしまいます!

このタイミングでは、以下の写真のように

・両肩を結んだ線上に肘がある

・体幹と一体になって動いている

状態を目標とし、肘が体幹よりも前に出てしまわないような

動きづくりが大切です!

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dart typeの改善方法

このタイプを改善させるためには、

身体機能の改善ももちろん大切ですが、

小学生の場合は、実際に投球に近い動きを

入れながら全身運動を行い、動きを覚えいくことが

有効であると考えています。

実際に、そういったトレーニングを入れていくことで

改善していくことを多く経験してきました!

今回は身体機能は割愛させていただき、

投球に近い動きを取り入れた改善方法の解説をしていきます。

動作の改善方法

現在動作の改善として使っているトレーニングは、

①ドッジボールのスロー

②紙鉄砲

です!

まずは

ドッジボールのスローイングについてです。

この良いところは、

『ボールが大きい』というところです!

野球のボールというのは大きさとしては小さく

たいていの場合、手で握って持つようになります。

この際、あまり強く握りすぎると、手に力が常に入り、

股関節や体幹の動きが手に伝わってきません。

結果的に手だけで動きを作ってしまい、いわゆる手投げになってしまいます。

対してドッジボールのボールはある程度大きさがあり、

手だけで握ってもつということは小学生には難しい事が多いです。

この場合、手ではなく、

全身を使ってボールを投げようとします。

手だけで投げられない以上、全身の回転を使って投げるしかない状況となり、

その事が結果的に全身の動きを獲得していくことができます!

次に、紙鉄砲についてです。

紙鉄砲は、

きれいにカラダの回転を使って振れた時はきれいな乾いた音がなります。

肘が前に出たり、カラダの回転がうまく使えないと音が鳴らなかったり、

乾いたきれいな音が鳴らない場合があります。

実際に

・腕の振りがスムーズにいっているか

・カラダの回転の動きが出ているのか

の指標にもなります。

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悪い例

さらに、

dart typeの予防だけでなく、

リリースポイントの安定にも効果があり、

コントロールにも良い影響を果たしてくれます。

私自身も今年から痛みに悩む選手をなくすために、

予防活動を積極的に進めています。

重要性に気づきすでに一緒に取り組んでいただいている選手や保護者の方も

出てきています!

もっと多くの方に広めていき、

たくさんの選手が痛みなく悔いなくスポーツができるように

それを見守る保護者や指導者の方々も安心してみられるように

取り組んでいきたいと思います!!