前回と今回に分けて、僕自身が英会話を学習してきた方法と、トレーナー目線での英会話法についてお話しています。
前回の「PT、トレーナーのための英会話学習法(前編)」は主に、学習の全体像をお話しました。今回は、それをもとにして、実際の学習法を具体的にお話していきます。
それでは、さっそく始めましょう。
今回のシリーズは、実践的内容を書いた後編(このnote)と、全体像を書いた前編とでセットになります。それぞれ単発購入も可能ですが、基本的には両方読んでいただくことを前提とした内容になっていますので、学習を始める目的で購入される方は都度購入より「定期マガジン」または「英会話学習セット」を購読していただいた方がお得になります。
■スピーキング
レベル1
スピーキングは僕の場合、中学レベルの文法や文章構成を勉強するところから始めました。
僕自身は初回の勉強を始める時、正直言ってかなり能力が低く、中学レベルの文法や前置詞の使い方など全く分かっていませんでした。
中学レベルの文法や文章構成というと、 例えば三単現の S などがありますね。このレベルすらわかっていなかったので、最初は話す練習をする前に中学英語をひとつづつ見直すところから始まりました。
使用した教科書は「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく」というテキストです。
↑他のテキストもそうですが、いくつか似たタイトルの本があるので間違いに注意です。これでいうと、表紙に「もう一度」と吹き出しで書いてある書いてあるものを選びましょう。上記にアマゾンリンクを貼っているので、そちらから購入いただいても良いかと。
で、このテキストはスピーキングの一環として行うのですが、 実際に話すことはありません。
このように例題がいくつか並んでおり、その中から適した単語を選んだり、文法上正くなるように文章を作成する、というものが多いです。
そして、否定文の作り方や現在進行形、現在完了、関係代名詞を使った文章など、中学英語で必要な文法能力や文章構成能力をすべて見直していきます。
このテキストに限らず、すべての教材で言えることですが、テキストは一度やったら終わりではありません。
一度最初から最後までざっとやった後に、もう一度一から全部復習し直す、つまり一つのテキストにつき2周やりましょう。こうすることで、一度学んで忘れてしまったことも記憶に定着しやすくなります。
このテキストは中学英語レベルのものを一つずつやっていくので、一週間で合計5〜6時間ぐらいの時間をかけることができれば、1ヶ月ほどで全て終わらせることができると思います。
1周目が終わったら、もう一度2週目をやるのですが、このテキストは各章の終わりに復習テストというものがあります。2週目はテキストをまるまるやるのではなく、この復習テストのみやり直すと良いでしょう。
2週目が終わる頃には、中学レベルの文法や文章構成は時間はかかるけどある程度正確にできるようになっているはずです。
ここまでを、およそ一ヵ月半で達成できるように頑張りましょう。
レベル2
「中学英語をひとつひとつわかりやすく」のテキストが2周終わったら、次は習得した文法や文章構成を使って、実際に日本語→英語の変換を瞬時に行い、口に出していくトレーニングを始めます。
ここで使うテキストが、「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」です。
(例のごとく、本を間違えないようにしましょう)
これは、 CD が付属している教科書タイプと、 スマートフォンのアプリの2つがあります。どちらを選んでも構いませんが、僕はスマートフォンのアプリを選びました(理由は後述)。
このテキストは、日本語の音声で流れてくる簡単な文章を、数秒のポーズ期間の間に英語に変換し、話すというものです。
例題を出すと、まず、
「あの男たちは誰ですか?」と日本語が流れ、数秒後に、
「Who are those men?」と英文で答えが流れます。
これを、日本語のアナウンス→英語の答えの間に、自分で英語で答えるというものになります。
↑アプリだと、こんな感じになります。
スピーキングのはじめのテキストは、文章構成や文法を「時間をかけて勉強して頭に入れる」というものでした。ですが、当たり前ですがそれだと時間がかかり過ぎてしまうので、実際の会話の時に会話が成り立ちません。
そこで、今までやってきたことをできるだけ早く英語で喋れるようにこのテキストでトレーニングするというイメージになります。
また、このテキストはボリュームがかなり多く、初めは中学1年生レベルの簡単なところ(例:あなたは誰ですか?→Who are you? など)から始まります。
それがだんだんと難しくなり、文章も長くなってきます。
中学1年生レベルは、それほど時間をかけなくてもできるようになると思います。目安としては、3週間かけて中学1年生レベルを終わらせることが出来れば良いペースかと思います。
そして中学2年生中学3年生のレベルになってくると、一気にレベルが上がります。すでに前のテキストで文章を作るトレーニングは積んでいるので、文章を作ることができるレベルには達していると思いますが、瞬時にその文章を話すというのはまだ難しいはずです。
↑中学3年のレベルです。「こんなん中学でやってへんぞ!意味わからんわ!」って正直思いましたが(笑)、頑張りましょう。ちなみに、このような関係代名詞のwhatなんかは、日本人が比較的に苦手だったりしますね。
この中学2年生と3年生のレベルはしっかりと時間をかけて、瞬間的な速度で喋れるようになっていきましょう。
目安としては、このテキストは10問の問題が一つのセットになっています。それを2週間かけて10セットまで終わらせるのが目標です。そしてそれが出来れば次の2週間は11から20までを終わらせる、というぐらいのペースで進めていくといいでしょう。
僕の英語学習のスピーキングの中では、このアプリの中学2年生と3年生のレベルに最も時間をかけました。そしてこのテキストは、時間をかければかけるだけ英語力の向上を実感することができました。
英語のレッスンをしていても、最初は話したいことが日本語で浮かんでも時間がかかってしまうという場面がたくさんありましたが、このスピーキングの練習をやればやるほど、どんどん文章が出てくるようになります。
一つ一つ丁寧にクリアしていくと、1周目が終わるのにおよそ半年ぐらいかかります。そして、もう1か月ほどかけて2週目の復習をやっていきます。かなりのボリュームですが、2週目が終わる頃には、日常の英会話はほとんど数秒以内に話せるようになるでしょう。
ちなみにこのテキストに関しては、音声で聞いて音声で答えるというのが絶対条件です。
アプリだと、画面越しに日本語も英語も答えを読むことができますが、私たちは耳と口を鍛える必要があるので、できるだけ画面を見ずに答えるようにしましょう。
加えて、机に向かってやるのではなく、移動中の時間を使って勉強できるといいですね。電車や車に乗ってる間家、散歩しながらでも構いませんのでんので、できるだけアクティブな時間を使って耳と口を鍛えていきましょう。時間の節約にもなるはずです。
レベル3
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」のテキストが終わると、中学レベルの文章であれば話せるようになっていると思います。 最後のレベルは、今までやってきた中学レベルの様々な文法や文章を、ランダムで組み立てていくというトレーニングです。
これまでやってきことの総括ですね。
使用するテキストは「おかわり!スラスラ話すための瞬間英作文トレーニング」です。
これです。表紙の左上に、ドンブリの中に「おかわり!」と書いてるやつです。(このシリーズも似た本がいっぱいあるので間違えないように気をつけましょうw)
これはおかわりと書いている通り、これまでやってきたテキストと、やり方は変わりません。日本語が流れて数秒たった後に英語が流れるというシステムです。
しかし流れてくる文章は、中学校1年生から3年生までのあらゆる文法や文章構成が入り混じった内容になります。つまりフレキシブルかつ瞬時に、中学レベルの文章を話すことが求められるわけです。
僕は1年かけてトライズのプログラムをやってきて、このテキストを取り組んでいる途中で一年の期間が終わりました。
ですが、このテキストはスピーキングに最適であり、かつ移動時間にも使えるという利点があるので、今現在でも、移動中はこれを使って耳と口を養っています。
仕事柄、僕は海外遠征に行くことが多いですが、飛行機の中ではもっぱら、このアプリと、この次にご紹介するリスニングの教材をずっと流しています。
スピーキングのトレーニングを総括すると、このトレーニングがあったからこそ、話したいことが話せるようになったと僕は感じています。
■リスニング
リスニングに取り組む一番の理由は、言わずもなが「相手の言っていることを理解する能力を身につける」ということです。
実は、僕はリスニングが苦手だったのですが、学習を始める時担当のコンサルタントに言われたことが、「正直相手の言っていることが聞こえていれば、話せなくてもなんとかなります。だけど相手の言っていることが聞き取れなければ、会話が始まらないので、お話になりません」でした。
なので僕にとっての重要課題、まずリスニングを鍛えることでした。
加えて、リスニングにはもう一つ鍛えられる能力があり、それが発音やリズムです。
発音は正直、英語の中で最も極める必要のない部分です。しかし、あまりに発音が悪かったり、アクセントの位置やイントネーションがおかしかったりすると、自分の言っていることが相手に伝わりません。
これは非常に困るので、 最低限、相手と意思疎通ができるようになるまでには上達する必要があります。
英会話で最も重要なことの一つが「アクセントの場所」なんだけど、意外と知られていないみたいで💦
「発音は国によって違いあれど、アクセントの場所は世界共通。これミスると聞き取れないし伝わらない」ってアドバイスを意識してから、僕も場合は飛躍的に上達しましたので学習中の方はぜひ👍
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) August 14, 2019
後に書きますが、英語には「正しい発音」と言うものは存在しません。
英語はそもそも、ラテン語から派生した言語(つまりイギリス発祥)なのですが、ではアメリカ人が話す英語が間違っているかと言うとそういうことはありません。
アメリカ人が話す英語は、典型的なネイティブイングリッシュと言われていますし、 同じネイティブイングリッシュに分類されるオーストラリアやニュージーランドも、それぞれ全く異なった発音です。
またネイティブでない国の英語は、もっと発音がバラバラで、インド特有の発音や、フランス人特有の発音など、その人の背景によって英語の発音は形を変えます。これは日本も例外ではありません。
しかし、前ツイートの通り、英語で世界共通と言われているのはアクセントの位置です。その単語の中で一番強く音を発する場所、それがアクセントの位置なのですが、これを間違えると全く通じません。
逆に言えばアクセントの位置がしっかりしていれば、発音がイマイチでも相手にしっかり伝わります。
リスニング学習に話を戻します。
リスニング力を鍛えるのは、僕の場合はかなり苦労しました。
というのも、僕はもともとリスニングが苦手で、海外で困ったことの第1位が「相手の言ってることがわからない」だったからです。
これは今でこそ分かるのですが、リスニングが苦手というのは、「音の辞書が少ない」と言い換えることもできます。
これはどういうことかというと、「英単語を文字では知っているが、音としては知らない」という意味です。
もう少し深掘りすると、例えばビタミンという言葉があります。ビタミン(Vitamin)という英単語は皆さん知っていますよね。
しかし英語でビタミンと言うと、日本語とは全く発音が違います。カタカナで表現すると「バイタミン」のような発音になりますが、実際これが外国人が言っていると、ビタミンという単語を知っていたとしても聞き取ることができません。
音としての「バイタミン」を知っていなければ、ビタミンの単語とマッチすることはないのです。
これがいわゆる「音の辞書」で、これからお話するリスニングのトレーニングは、音の辞書を鍛えることに念頭を置いています。
また、リスニングと言いましたが、実際に行うのは、主にシャドーイングというトレーニングになります。
これは何かと言うと、英語で流れてきた文章を聞き取りながら 、コンマ数秒遅れてその文章についていくように読み上げる、というトレーニングです。
↑この動画は、バイリンガルJunさんの動画です。3:40〜からシャドーイングについて説明されているので、一度見てみると、イメージを掴めると思います。
ただ、このシャドーイングという手法は、非常に効果の高いトレーニング方法である一方、リスニングをしながらその内容を理解し、的確に発音をしなければいけないので、非常に難易度の高いトレーニングでもあります。
なのでこのシャドーイングに関しては、ゆっくりと丁寧に進めていき、8割程度の完成度ができたら、次に行くくらいでいいでしょう。
ただし、わからないまま進めていくと上達しないので、注意です。
丁寧に理解しながらやることで、リスニング能力だけでなく、言葉の発音や話す時のリズムなども、よりネイティブが話すナチュラルなものに近づきます。
既述の通り、発音やリズムは完璧である必要はありませんが、ある程度の水準を超えていなければ、「話し相手に伝わらない」という障害が生まれます。
相手に伝わる程度の発音や話のリズムは必要なので、シャドーイングではそこも意識してやっていきましょう。
レベル1
シャドーイングの始めで取り組んだのは、「決定版 英語シャドーイング超入門」というテキストです。
↑超入門と書いていますが、正直結構ムズイですw
特に後半になると、実際にネイティブの人が普段の会話で話している音声が流れてくるので、難しく感じることもあると思います。
少なくても僕は難しく感じました笑
一方で 、テキストの前半は非常に簡単です↓
徐々に知らない単語が使われることも増えて、話すスピードも速くなってくるので、一つずつクリアしていきましょう。
シャドーイングを行っていく手順は、以下の通りです。
①4回から5回、テキストを見ずに音声だけ聞く
いきなり最初からテキストを見てはいけません。
まずは音声だけを聞いて、話を理解できるかどうか、聞き取れているかどうかを確かめましょう。
逆に4~5回聞いても分からなければ、次のフェーズに進んでください。
リスニングで一番やってはいけないことは、「分からない音声を何度も聞いて無理に理解しようとすること」です。
音の辞書がない状態で何度聞いてもわからないものは分からないので、5回聞いてもわからなければ、次の2に進んでください。
②テキストを見ながら、一文ずつ聞いていく
次にテキストを見ながら、音声を聞いていきます。
いきなり全ての音声を聞いていくのではなく、文章が一つ終わったら、一度音声を止めましょう。
そして、その1文の中で分からない単語や聞き取れなかった部分があればチェックを入れていきます。
↑こんな感じでチェックを入れていきます。見てみると、簡単な言葉のはずなのに、聞いてみるとわからない部分(=音の辞書がない部分)も結構ありますね。ちなみに、これを続けると、自分なりに弱い音の傾向が出てきます。(僕の場合、thatやthemなどthの音と、wloudを聞き取るのに苦労しました)
そして、ここでとても重要なことが、単語や言い回しも一緒に覚えることです。
シャドーイングはただ単に聞き取る練習だけではなく、知らない単語を覚えることや、知らない言い回しを覚えるトレーニングでもあり ます。
僕の場合は、知らない単語や言い回しが出てきたら、ひとつひとつ別のノートにメモをしていき、暗記していきました。(効率的な暗記の方法は後で紹介します)
そして、ノートにチェックをした後は、文章を通して読んで理解し、理解し終わったら、もう一度その部分を聞いていきます。
このように一文が理解できて、聞き取れるようになったら次の一文に進みます。
全ての文章を聴き終わったら、もう一度最初から最後まで流して聞いてみます。最初にテキストを見ずに聞いた時と比べると、単語の聞き取りや、内容の理解が見違えるほど違うのが分かると思います。
③テキストを見ながらシャドーイングしていく
テキストを見ながら音声を流していきます。
そしてそれについていくような形で、実際にあなたの口で読み上げていきます(実際のシャドーイングですね)。
この時いくつか意識することがあり、これを意識できているかどうかで、将来的にリスニングのレベル、話す時のリズムや発音のレベルが大きく変わりますので注意しましょう。
【シャドーイングで意識すること】
・ 読み上げるだけではなく、話している内容をイメージしながらシャドーイングする
・話し手と全く同じイントネーションやアクセント、発音を意識する(感情表現も含め)
・話す時のリズムや抑揚も全て同じにするよう意識する
少し余談になりますが、僕が英会話を学習していた時に、担当のコンサルタントが言っていました。
「自分の話す言葉が相手に理解してもらえるかどうかは、発音そのものよりも、文章全体のリズムが大事」
ということです。
シャドーイングでは、実際にネイティブが話しているイントネーションやリズム、抑揚なども一緒にマネていきます。
これができるようになると、実際に話すときも同じようなリズムやイントネーションで文章が出てくるようになるので、相手に伝わりやすくなります。
音の辞書というのは何も聞くことだけではなく、話す時にも使われるわけですね。
④テキストを見ずにシャドーイングする
話を戻します。
テキストを見ながらシャドーイングを何度か行い、ある程度できるようになってきたら、最終的にはテキストを見ずにやってみましょう。
これで、内容を理解しながら、そしてリズムやイントネーション発音も8割程度同じように繰り返すことができたら、そのセッションはクリアとなります。
以上がシャドーイングの流れになります。いくつかのステップに分かれていて、一つの文章をやるにも時間がかかりますが、それでも時間をかけて一つ一つ丁寧にクリアしていきましょう。
「決定版 英語シャドーイング超入門」の教材は、およそ2〜3ヶ月で終えることができると思います。
シャドーイングは、一つずつ何度も繰り返してやっていく為、スピーキングのように2週目を復習する必要はありません。
最後まで終わったら、次のテキストに進みましょう。
レベル2
次は、「DIALOGUE Basic1200」というテキストです。
僕のリスニング力は、このテキストで一番鍛えられました。
このテキストはもともとTOEIC用のものなのですが 、この教材を使ってシャドーイングを行います。
やり方は前のテキストと全く同じですが、このテキストの一番の特徴は、英語ネイティブ圏であるアメリカ,イギリス,オーストラリア,カナダのそれぞれの英語を聞くことができる点です。
テキストに登場するキャラクターの出身地がそれぞれ違うため、英語にもアクセントや発音の違いが見られます。
僕たちトレーナーはこれから、世界各地で様々な英語に触れていくことになりますから、一つの英語は発音だけではなくこのテキストのように様々な音に慣れておくことがとても大切です。
そういう意味でも、この教材はシャドーイングにピッタリでしょう。
またこのテキストは、もともとシャドーイング用のものではないので、会話のスピードが非常に速いです。
初めは聞き取ることにも苦労するはずです。
ですが、根本的なやり方は前のテキストと全く同じです。
少し意識することを付け加えると、シャドーイングをする時に、彼らが話していることをそのまま真似るということです。
先ほど書いたとおり、このテキストの登場人物はそれぞれ異なった国の異なった英語を話します。なので、聞こえてきた音をそのまま言うことで、それぞれの国の発音やアクセントにも慣れることができるでしょう。
もう一つ。このテキストの一番大きな特徴は、単語を覚えることができるということです。
↑このテキストはネイティブたちが日常会話で使っている英単語を、ほぼ網羅するように作られています。そのためシャドーイングをするのはもちろんのことやりながら英単語を覚えていきましょう。
余談ですが、ネイティブ等が会話で使っている文法や文章は、実はそれほど難しくはありません。ただし使っている単語のバリエーションが非常に多いので、単語が分からなければそもそも会話が成り立ちません。
単語を覚えることは「音の辞書を増やすこと」と同じくらい大事なことなんですね。
効率的な単語の習得法
ではここで、効率的に英単語を覚えられる西川流の方法をお伝えします。
はじめに、よくある間違いを言うと、ただ単に単語帳を使って覚えるというのは非常に効果が薄いです。覚えるのに時間もかかりますし、実際の使う場面が想像できないので、覚えたとしても使える単語にはなりません。
ではどうするかと言うと、単語を使って文章を作り上げ、それを毎日音読するという方法(名付けて「make a sentence & reading everyday」、そもまんま!!)です。
【make a sentence & reading everydayの手順】
①まず、分からない単語を一つ一つチェックしていき、ノートに書き出す
→例: blank 空の、白紙の、未記入の
↑これ見て「字汚な!」って思ったでしょ。そう、僕、字が苦手なんです。いいんですよ。字が汚くても、英語は覚えられますから。
②自分が日常の場面や仕事の場面で使うだろう文章をイメージし、その単語を使って短文を作る。→例:There was a blank for two years「2年間ブランクがあった」
③作った短文を毎日声に出して読み上げる
→単なる音読ではなく、内容やキーワードとなる単語の意味を思い浮かべながら読み上げる。
正直言ってかなり面倒ですが、一つ一つこれをやることでびっくりするぐらい英単語を覚えられます。
ここで難しいのが文章を作る段階だと思いますが、ここは時間をかけて構いません。自分が将来、仕事や日常で使うであろう文章、または、すでに海外に行ったことがある方は、そのシチュエーションを思い浮かべて文を作ってみましょう。
ポイントは、文章をできるだけシンプルにすることです。難しい文章や長い文章だと、「文章を作ることそのものが目的」になってしまいがちです。
あくまで目標は単語を覚えることなので、できるだけシンプルな文章を作って読み上げるようにしましょう。
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さて、難易度の高いテキストでシャドーイングを行い、英単語も同時に覚えていくとなると、かなり労力や時間を使うことになります。
なのでここは、焦らず一つ一つクリアしていきます。目安としては、2週間かけて、テキストの一つのナンバー(文章と単語が2ページで一つになっているもの)を十個クリアするくらいのペースでいいでしょう。
ただこれは個人差があるので、各自のペースによって調整してください。
僕はこのペースで進んでいき、 約7ヶ月から8ヶ月ほどでこのテキストを終えることができました。
このくらいの時期になると、シャドーイングに加えスピーキングもかなり上達しているので、海外で身の回りのことを聞き取って、話すことに関しては、問題なくできるようになっているでしょう。
難しい議論や、ネイティブの容赦ないスピードについていくことはまだまだ難しいですが、最低限の英語力はついているはずです。
そして、このテキストが終わったら、最後のレベルに進みます。
レベル3
最後のテキストは「究極の英語リスニングVol4」です。
↑このテキストはシリーズ化されているので、間違えないようにしましょう。Vol4です。
このテキストは、前のテキストに比べてレベルは同じか少し高いぐらいですが、最も大きな特徴は文章が長いということです。
正直、中学生の英語レベルでは理解できない文章もところどころ出てきますし、ネイティブ特有の言い回し(例えば「彼は〇〇と言った」は、中学英語では「He said 〇〇〜」ですが、ネイティブはよく「He was like〇〇〜」という言い回しをします。このようなネイティブ特有の言い回し)が多く出てきます。
このテキストに挑戦する段階になると、「非ネイティブの、ゆっくりかつ複雑でない英語ならコミュニケーションをとれるが、ネイティブが本気でしゃべっているレベルについていくことは難しい」というレベルになります。
つまりこのテキストでやるべきことは、少しでもネイティブレベルに慣れていくということです。
シャドーイングのやり方は基本的に変わりません。また同時に、以前のテキストでやったような単語を覚える学習もやっていきます。
リスニングに関しては、おそらくこのテキストの途中で1年くらい経っているでしょう。
僕も同様でしたが、1年のプログラムが終わった後も、引き続きこのテキストで学習しています。
リスニングに関しては、以上になります。
■英会話レッスン
スピーキングやリスニングをやりながら、同時進行で英会話レッスンを進めていきます。
目安はオンラインレッスンの場合、ワンレッスン約30分、週に3回以上できるといいでしょう。
今は、オンラインレッスンでも安価でマンツーマンでできるサービスがたくさんあります。
例えば DMM英会話や、ネイティブキャンプなどは、月額5000〜6000円程度で無制限で受講できますので、学習しはじめの1年間は、これで十分でしょう。
大事なのは英会話レッスンの位置づけを理解することです。
やみくもに英会話を勉強している人にとっては、できるだけ「英会話レッスンでネイティブと喋りたい」「非ネイティブからは習いたくない」と言っちゃったりします。
しかしそれは非常にナンセンスな話です。なぜなら、スピーキングやリスニングの勉強しながら英会話を進める場合、スピーキングとリスニングは主に自分自身でやるインプットを意味し、英会話レッスンはそのインプットしたものをアウトプットする現場だからです。
ネイティブのスピードや英語に慣れるのは、シャドーイングでも可能です。しかし、自分自身でどんどん会話をしていくことは、英会話の時間にしかできません。なのでレッスンではアウトプットと割り切って、間違ってもいいのでガンガン話しましょう。
英会話レッスンで大事なことはいくつかありますが、一つは必ず予習復習を欠かさないことです。
レッスンの前後に30分ずつ時間を取り、それぞれ予習と復習をやりましょう。
予習:自分の自己紹介や、最近身の回りにあった出来事などを、頭の中である程度文章を作っておく。相手にどんな質問をするか考えておく
復習:レッスンで聞き取れなかったことや、言いたかったけど言葉にできなかったことを振り返る。例えば DMM 英会話の場合、レッスンで使った文章や間違えた箇所などをフィードバックしてくれる機能がありますので、それらを活用するといいでしょう。
そして最も大事なのは、「何があっても週3回以上は続ける」ということです。
リスニングやスピーキングといったインプットのトレーニングは、自分一人でいくらでもできます。
しかし英会話レッスンとというアウトプットは、あなた自身が能動的に動いて毎回レッスンを受けなければいけません。
時にそれは非常にストレスになりますが、結局はレッスンで話す機会を確保して自分で話し続けるトレーニングをしなければ、当たり前ですが話せるようにはなりません。
なのでレッスンに関してはストイックに必ず決めた頻度を守るようにしましょう。
英会話レッスンは、特に何か段階を踏んでやっていかなければいけないということはありません。
しいて言うならば、シャドーイングの一貫で英単語を覚える時に、短文を作る作業をしていると思います。
もし使う機会があるのなら、その作った短文を実際に話してみて、正しいかどうか添削してもらうのも良いでしょう。
でもどちらかというと、あなたの日常のことを話したり、仕事に関することを話すのが一番良いです。
僕が実践していたのは、トレーナー活動で現場に出ていて使っていた言葉を、英語でどう言えばいいか教えてほしいと頼んで、アドバイスをもらっていました。
例えば治療する時に、「うつ伏せになってください」ということがありますね。これ、英語でなんと言うか分かりますか?
答えは、「Please lie down on your stomach?」です。
学校ではprone(伏臥位)と習っていましたが、まあ誰も使っていないですし、言っても理解してもらえません笑
トレーナーやPTの方で英語を身に付けたい方へ。僕もかつては「専門用語も全部英語で話せるようにならないと…‼︎」と思ってましたが、意外にシンプルで大丈夫ですよ。
選手に「伏臥位」とか言わないようにproneなんて専門家同士でも使わないし、「うつ伏せ=on your stomach」とかで全然大丈夫です😅— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) May 30, 2019
こうした日本語では何とも思わないような声かけ一つも、英語だと難しくなるものです。
僕は海外遠征に出ている時も、ずっとオンラインで英会話レッスンを受け続けていましたが、海外の現場で話せなかった英語や困ったことをオンラインレッスンで相談してフィードバックをもらい、そして次の日にそのフィードバックしてもらった言い回しを実際に使ってみるというサイクルを実践していました。
さすがにこれを同じようにやることは難しいと思いますが、このように現場でやることと英会話を結びつけていくと、非常に効率的に学ぶことができます。
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スピーキング、リスニングそしてレッスンと、一通りのノウハウをお伝えしました。
正直、1年間これを続けるのは簡単ではありません。
日々の仕事もあるし、全ての労力と時間を英語に注ぐことは難しいでしょう。
しかし冒頭でお伝えしたように、英語は最もコスパの良い学習であり、やればやるほど身につくものでもあります。
そして同時に、これからの時代の僕たちには必要不可欠なスキルでもあります。
ぜひ、世界中どこでも仕事ができる語学力を身につけましょう!
※もし、自力で頑張ることが難しいorもっと学習効率を高めて、速くマスターしたい!と感じたら、追伸に書いているトレーナー育成プロジェクトを検討してみてください。
直接僕と、アメリカでNATA-ATCを取得した女性トレーナーとタッグを組んで、英会話を徹底的に鍛えさせていただきます。正直言ってトライズよりかなり安いですし、トレーナー目線でお伝えできるので、自分でいうのもなんですがかなりオススメです。
そんじゃーね!!